墓じまいに伴う市区町村役場への届け出方法や、必要な書類の準備方法などについて教授させていただきます。
改葬とは何か知っておきましょう
改葬とは、お墓から→お墓への引っ越しの事を言います。
この場合のお墓とは一般墓地や納骨堂、樹木葬、合祀墓など、墓地や納骨堂と自治体から許認可を受けた「墓地」や「納骨堂」の事を指します。
つまり、引っ越し先が「墓地」または「納骨堂」ではない海洋散骨などの場合、本来は「改葬許可申請」は不要なのですが、遺骨の管理が厳重な墓地管理者には提出を求められる事があります。
お墓から遺骨を取り出す時の手順
- 墓地管理者に「遺骨をお墓から取り出したい旨」を伝え、改葬許可証が必要かどうかを確認する。
- 不要な場合は墓じまいの手順に従って石材店等を選ぶ。必要な場合は3に進む。
- 現在の墓地がある市区町村にて「改葬許可申請書」を入手する。
- 必要に応じて「受入証明書」を入手する。
- 現在の墓地管理者に改葬許可申請書を渡し、埋蔵証明(押印)をしてもらう。
- 改葬許可申請書に必要事項を記入し(受入証明書と共に)役所に提出する。
- 役所が書類を確認して判断。
- 改葬許可証が発行されたら現在の墓地管理者に提出する。
- 墓地管理者と協議し、墓じまいの日程が決まったら石材店を手配する。
- 遺骨を取り出す。
改葬許可申請書とは → 改葬許可証を貰うために提出する書類。
改葬許可証とは → お墓の引っ越し先の墓地管理者に提出する書類。
改葬手続きが不要なケース
- 元の墓地管理者が不要と言った場合。
- 海洋散骨など墓地以外の場所への移動の場合。
- メンテナンス等、一時的に遺骨を取り出し、元の墓に戻す場合。
改葬手続きが必要なケース
- お墓→お墓(別の墓地)の引っ越しの場合。
- 同一墓地内の合祀墓へ改葬する場合。
- お墓→海洋散骨であっても、元の墓地管理者が遺骨を出すなら必要と言った場合。
- いづれまた墓地へ埋葬するかも判らない場合。
改葬許可申請書はどこで入手するのか?
改葬許可申請書は現在墓地がある市区町村役場で貰います。担当部課は各自治体によって異なりますので電話やホームページで調べましょう。PDFでダウンロードできるところも多いです。
パソコンが苦手な方など、自治体によってはFAXや郵送してくれることもありますので役所に電話などで尋ねてみると良いと思います。
改葬許可申請は代理人でもできる?
原則、祭祀承継者が申請しますが、行政書士による代理人申請も可能です。行政書士資格の無い石材店などが代行した場合は違法(行政書士法違反)となり1年以下の懲役または100万円以下の罰金になりますのでご注意ください。
行政書士の選び方
役所に提出する際に、墓地管理者に押印を貰ったりする必要があるため、現在墓地がある市区町村内の行政書士に依頼した方が動きも早く、高額な交通費を請求されることもなくなります。相場は1万円前後です。
改葬許可証入手までの流れ
改葬許可申請書の書式は各自治体によって異なりますので以下の事項をよく確認してください。
現在の墓地による埋蔵証明はどこの自治体も必須項目となっていますが、改葬先の受入証明を求める、求めないは各自治体によって記入欄そのものがないこともありますので、先ずは改葬許可申請書を入手し、内容を確認することをお勧めします。(ホームページからダウンロードできる役場も多いです)
- 改葬許可申請書を入手して内容を確認する。
- 改葬先の受入証明書が必要なら先に入手しておく。(海洋散骨の場合は不要ということろも多い)
- 必要事項を記入して、改葬元の墓地管理者に提出し、埋蔵証明(押印)をしてもらう。
- 全ての記入項目が揃ったら役場に提出する。
- 役場で判断し発行。
受入証明書とは?
改葬先の墓地管理者によって「確かにこの方は新しい墓地を購入してます」という証明書です。
受入証明書の発行が無い場合は墓地を購入したことが判る領収書や管理費の領収書などでも良いとする自治体もあります。この場合はコピーを控えて原本を提出します。
海洋散骨で受入証明書を発行している業者は少ないですが、「まごころ散骨」では海洋散骨用の受入証明書を発行してます。
埋蔵証明とは?
墓地管理者は納骨の際に遺骨と一緒に「埋葬許可証」の原本も一緒に預かり保管することが法律で定められています。この情報を元に、現在の墓地管理者によって「○○さんの遺骨は確かにここに収蔵してありますよ」という証明をしてもらう行為をいいます。
改葬許可申請書には必須項目としてこの欄がありますので、署名・押印してもらうことで証明となります。
埋葬許可証がない場合はどうする?
古いお寺などは戦争や震災などの影響で埋葬許可証を紛失してしまっている事も多くあります。
この場合は実際に出てきた骨壺に書かれた名前、墓石や墓誌などから故人を特定し、「遺骨収蔵証明書」などをお寺側に独自に作成してもらって改葬許可申請書と一緒に提出して役所の判断を仰ぎます。
故人のお名前が特定できない場合はそれらしき故人名を書かないと「ご先祖様」では許可は下りませんのでご注意ください。(この場合は海洋散骨するしかないかも)
大抵の場合は事実確認ができれば事情を汲んで許可が下ります。
まとめ
改葬許可証の発行は役場の最終判断に委ねられています。
以前は、改葬の理由欄に「お墓を買う予定」とか「海洋散骨のため」と記入すると許可が下りないこともありました。これは、海洋散骨は長い間「合法か不明」な状態にあり、役所もその判断に迷っていた時期があった為と思われます。
ところが2021年に厚生労働省、2023年には国土交通省が続いて「散骨業者に対するガイドライン」を公式HPに掲載した事で一気に改葬の理由として認められました。
現在では多くの自治体が海洋散骨での改葬許可証発行を認めており、併せて改葬許可申請書から「受入証明」部分を排除、もしくは簡素化するところも増えています。
こうした流れを受けて改葬許可は下りやすい状態になってはおりますが、改葬申請した以上、書類上には記録として残りますので、ご遺骨の行方については祭祀承継者の方が責任を持って最後まで見届ける必要がありますのでご注意ください。
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