数々の墓じまいに立ち会った私が、墓じまいをする際に必須であり、最も重要な石材店の選び方について教授させていただきたいと思います。
原則は、お墓を建てた石材店に依頼します
お墓は材質や構造などを最もよく理解している「建立した石材店」に墓じまいも依頼するのが一般的ですが、石材店が廃業してしまったとか、今はお付き合いがない、折り合いが悪いなど様々な事情もありますので、めぼしい石材店が見つけられない時の探し方として記します。
指定石材店がある場合
先ず始めに墓じまいをしようとするお墓がある寺院や霊園にて「指定石材店」が決まっている場合は、その指定石材店の中から選ばなければなりません。
指定石材店があるのは「寺院墓地」と「石材店が経営している民間墓地」の2つです。市営霊園など自治体の運営している公共墓地では独占禁止法に抵触する恐れがあるため自治体の霊園ではこれを認めていません。
寺院が指定石材店を設けている理由
- 墓石を販売したり、墓じまいをした際に、お寺に手数料を支払う契約をしているため。
- 古くからあるお寺などは墓地内の道が狭かったり、入れる重機や車両に制限があるため、独自のルールを遵守する必要があるため。
石材店が指定石材店を設けている理由
- 自分達が墓石を販売するために作った墓地だから。
大抵の場合は寺院の目の前に「指定石材店」と看板を掲げた石材店がありますが、見つけられない時は寺院に直接「指定石材店はありますか?」と聞いても大丈夫です。
指定石材店がない場合
市区町村が運営している墓地や霊園には指定石材店がありません。
入り口周辺などに多くの石材店があると思いますが「指定石材店」と看板がかかっていたとしても公共霊園の指定石材店ではないでしょう。
基本的に指定石材店が無い場合は、どの石材店に依頼しても構いませんが、大手から個人まで石材店は玉石混淆ですから、初めて墓じまいをする方などはどこへ頼んで良いものか迷うと思います。
3種類の石材店を探そう
- 大手の石材店
- 活きの良さそうな石材店
- 安さが売りのネット石材店
霊園から離れた石材店に依頼すると別途交通費が実費で加算されますから、少しでも安く済ませたいときは墓地近辺の石材店から選択します。
大手の石材店とは?
どこに言っても名前を聞くような有名な石材店や、霊園前にドーンと大きな店舗を構えている石材店が大手です。大手が複数あるときは若い人がせっせと働いてる所がおすすめです。
活きの良さそうな石材店とは?
小さくてもお店がキレイで中を覗くと従業員が活気良く動いており、やる気がありそうな石材店です。社長が高級車を乗ってるお店は避けて軽トラックとかが駐まってるようなお店がおすすめです。
安さが売りのネット石材店とは?
「○○霊園 石材店」と検索した時に広告を出してるような石材店です。仲介サイトなどではなく、個人でやってそうなところを探します。お店はないけど手際の良い「元石材店」の方とかがお小遣い稼ぎにやってる事が多いです。
3社から見積もりを貰いましょう
3種類の石材店を見つけたら、それぞれの会社から墓じまいから遺骨の最終的な弔いまで含めて総額でいくらになるのか見積もりを貰います。
見積もりをする為には以下のような情報が必要です。
- 墓地の位置(区画番号)
- 遺骨の数量
- 墓じまいをしようとする時期
- 閉眼供養をするかどうか?
- 遺骨をどうしたいか?
各石材店はこの情報を元に実際の墓石を見に行くと思います。その上で概算見積もりを提出してきます。
石材の撤去と閉眼供養の手配、遺骨の取り出しまではできますが、その後の永代供養墓への改葬や海洋散骨までは手配できないといった石材店も多いので、最後の「遺骨をどうしたいのか?」は見積もりに含めないで見積もりを取る方法もあります。
→墓じまい遺骨を海洋散骨すると3万円で済む(外部)
石材店を決定するときに重視したいこと
3社から見積もりを貰ったらおおよその相場が判ると同時に、見積もりから各社の営業スタイルが判ります。
よく判らない加算がある×
例えば、頼んでもいないのに余計な項目を追加していて見積金額が高額になっているところは1万円でも多くつり上げようと必死ですので、後から追加料金を請求してくる可能性がありますので要注意です。
~が多い×
正確な見積もりが知りたいのに「¥○○~」といった表記が見積もりにある場合も要注意です。しっかり現場を確認して、経験値があればこうした見積もりはあり得ません。
価格上限が明記してある○
墓じまいは安く墓じまいできることも重要ですが、それ以上に安心して確実に墓じまいできることの方が重要ですから見積もりに上限がしっかり明記してある会社は信用度が高いです。
見積もりを提出する側からすると「上限」を示すことは勇気のいることですし、経験がないと断言できません。それだけお客様の立場に立って見積もりしてる証にもなります。
関連情報の提出がある○
見積もりと一緒に廃棄物の処理方法や施工期間など、依頼者の不安要素を解消できる補足情報を一緒に提出してきた石材店はかなり信用できます。墓石には名前が彫ってありますので、最終処分方法はとても重要です。
石材店とのよくあるトラブル
追加請求
これが最も多いと思いますが、しっかりと現場調査をせずに見積もりして、いざ墓じまい当日に「あ~お客さんこれは…」のような感じで追加請求してくる石材店がいます。
詐欺に近いですが、当日に言われたら中断するわけにも生きませんので従うしかありません。そうならないように事前見積もりと上限確認は必須です。
実際に何度か見たことがありますが何とも言えない空気が漂い気まずい感じになります。
土葬遺骨が出てきて再火葬
古いお墓は稀に未火葬の遺骨が出てくる事があります。
意外かも知れませんが結構な頻度であります。なぜなら昭和23年に「墓地、埋葬に関する法律」ができるまでは未火葬遺体の土葬も認められていた為です。
万が一、こうした土葬遺骨が出てきた時は市役所などに申請して再火葬しなくてはなりませんので当日予定していた墓じまいが当日中に終わらない可能性が出てきます。
厳密に言うとこれは石材店のミスではありませんが、墓じまいの際に土葬遺骨が出てくると石材店がどうして良いのか判断に困って作業が停滞してしまうことが多いのです。
これを防ぐためにも見積もりを取る前にカロート(墓下の空間)を開けて実際の状態などをしっかりと確認しておくことが重要です。
開けて確認するだけならどこの石材店に頼んでも1万円くらいでやってくれますし、見積もりの時なら無料でやってくれることもありますので、1番最初に見積もりに来てくれる石材店に立ち会う事がおすすめです。
私ならこうする
墓じまい、できることなら1万円でも安く済ませたいところですが、墓石を不法投棄などされると後から辿られて問題になりそうで怖いので、多少高くなっても信用第一で選ぶと思います。
その点大手は信用できますが、大手の営業マンは口が上手なので「それは要らない」ときっぱり断りながら進めてゆくのではないでしょうか?
一番見つけたいのは小規模だけど誠実に経営してる若手石材店ですけどね。
石材店の多くは継承者がいなくなって元気がないところが多いのですが、中にはしっかり跡継ぎがいて、血気盛んに対応してくれるお店もありますので、そういう所に頼むと対応も早くてストレスなく墓じまいできるのではないかな?と思います。(メールが連絡メインになるので仕事中に電話がかかってきたりしないので楽)
ただこういう石材店の中には勢い余って凄い見積もり出してくるところも多いので、店主が高級車乗り回してるような人だったら私なら頼みません。
あと、ネットで広告出してる仲介サイトにはまず頼まないと思います。
なぜなら仲介の場合は総額に対して15%~20%が手数料ですので、安さで釣って単価アップしてきますから。「先日の資料はお手元に届きましたでしょうか?」と連日営業電話かかってきます。必死過ぎて怖いですし、むこうは単価上げたい訳ですから値引き交渉は期待できません。
ということでいかがでしたでしょうか?この記事を参考に、皆さんが安心してなるべく安く墓じまいができれば幸いです。

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