土葬遺骨とは、火葬していない遺骨を土に直接埋葬してある遺骨のことです。
昭和24年に法律ができるまで昔はみな土葬でしたので、これ以前の遺骨が埋蔵されているお墓などからは現在でも墓じまいの時に出てくることがあります。
こうした土葬遺骨が出てきた場合は、祭祀承継者が再火葬しなくてはいけません。
なぜ火葬する必要があるのか?
人が亡くなると2~3日もしないうちに臓器の腐敗が始まり、様々な細菌やバクテリアが繁殖し始めます。この増殖を防ぐ為に死後間もなくドライアイスなどで冷却するわけです。
火葬しないで土葬すると、土の中で腐敗し、こうした細菌やバクテリアが大量繁殖し、土中に何らかの影響を与えます。
大きな敷地に1人2人埋めた程度では自然の分解作用でほとんど影響は及ぼしませんが、同じ場所に何十人も埋めた場合、土中や地下水への影響が発生する可能性があります。このため、火葬して埋葬する事が推奨されるようになったと言われています。
戦時中の遺骨は半土葬もある
戦時中の遺骨は戦火の中で止むなく自分達で火葬したりもしていたようなので火力が足りずに黒い墨部分が多く残っている遺骨が多くみられます。遺骨は焼けると木炭のように黒くなり、さらに焼くと白くなります。
こうした事情もあり、戦時中の遺骨は半分程度しか火葬ができていない遺骨も多々あります。こうした遺骨が出てきた時にも再火葬が必要になります。
土葬遺骨か見分ける方法
土葬遺骨は必ずしも土の中にあるとは限りません。昔、お墓を改葬する際に集めて小さなカメに移し替えて埋蔵してあるケースも多々あります。
たくさん昆虫が出てきたら要注意
土葬の遺骨は栄養がたっぷり含まれているため、その周囲には多くの昆虫が住み着きます。大量のハサミムシが出てきたら土葬遺骨の可能性が高くなります。また、周囲の土はしっとりしていることが多いため、ゴキブリの卵なども多いので、温かくなる季節は要注意です。お供え物などが雨でカロートに流れ込んで巣窟になっていることもあります。
ちなみに火葬後の遺骨には有機物がありませんし、弱アルカリ性なので土中に埋葬しても昆虫はほとんどいませんが、ダンゴムシなど甲殻類が多くいます。ヘビの抜け殻などもよく出てきます。どうやら甲殻を形成するためのカルシウムを求めて墓下に侵入するようです。
髪の毛や櫛が出てきたら可能性90%
昔の人は女性が亡くなると櫛を一緒に埋葬することが多かったようです。櫛や髪の毛が出てきたら高い確率で土葬遺骨の可能性があります。
頭蓋骨が丸々出てきたら可能性90%
骨は火葬するとモロくなりますが、未火葬の場合は原型を留めていることが多いので、頭蓋骨が丸くしっかりした形で出てきた場合は土葬の可能性が高いです。
実は下顎と上顎は凸凹部分に軽く合わさっているだけなので、筋肉がなくなると簡単に分離してしまいます。そのため、下顎だけが下の方に埋まってるケースが多いです。
土葬遺骨は柔らかい
先ず始めに、土葬遺骨を触るときは必ずゴム手袋などをしましょう。
遺骨の周りは栄養が豊富なので様々な細菌やバクテリアが存在しています。多くは有機物を分解する腐生菌類で無害すが、中には食中毒の原因となる細菌類もありますので爪の間に入らないよう防護します。そして事後は手を石けんでよく洗いましょう。
土葬遺骨は季節にもよりますが、多くの場合、湿気を含んだ固いお煎餅のような感じでふにゃふにゃしてます。判りやすいのは頭頂骨で、両手で持って力を入れて曲がれば高い確率で土葬遺骨です。(上腕骨や大腿骨など太くて長い遺骨は曲がりません。)
土葬遺骨は崩れない
また逆に、土葬遺骨は柔らかいですが容易に分解はしません。そのため火葬遺骨のように「手で持ったらボロボロと崩れてしまった」ということがありません。最も判りやすいのは大腿骨頭など丸い骨です。この部分はハンマーで叩いても壊れないくらい丈夫なのですが、火葬してあると片手でもいとも簡単に崩れてしまいます。
再火葬の準備と流れ
土葬遺骨の保管方法
土葬遺骨が出てきた時は、ダンボールか木箱を用意して、その中に新聞紙でくるんだ遺骨を納めて蓋をしておきます。わざわざ棺などを用意する必要はありません。(遺骨が濡れていたり、虫がたくさんいて、どうしてもビニール袋等に入れる場合は、火葬の前に必ずビニール袋から出します)
申請するのは納骨してあった市区町村役場です
役場に「改葬時に土葬遺骨が出てきたので再火葬したい」旨を伝えたうえで、「火葬許可申請書」に必要事項を記入し、改葬許可証と共に担当課に提出します。祭祀承継者や遺族以外が申請する場合は委任状が必要です。
土葬遺骨の火葬は法律で義務付けられているので不許可になることはほとんどありません。その日のうちに許可証は入手できるでしょう。
火葬許可書を入手できたら火葬場に予約を入れて(使用許可申請する)決められた日時に火葬します。
火葬後の遺骨を石材店が代理で受け取ることもできますが、何らかの手違いがあると面倒が増えるので原則は祭祀承継者が受け取ることをオススメします。
ちなみに土葬されていた遺骨はバクテリアなどにより既に組織分解が起きているので、再火葬すると遺灰はほとんど残りません。
引き取りたくない場合は、火葬の前に「残骨灰の回収誓約書」を書いておくと遺骨を全て回収してくれるところ(引用:まごころ粉骨)もありますので事前に調べておくと良いかも知れません。
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