少子高齢化で、墓じまいが1つのブームのようになっております。墓じまいは主に4部構成になっており、その4つ目が「遺骨の行き先をどうするか?」になります。
かつてはお墓があった菩提寺の永代供養墓に合祀する方法しかありませんでしたが、近年では「樹木葬」や「海洋散骨」といった選択肢も増え、祭祀承継者の意向を反映し易い状況になってきました。
単純な疑問として、なぜ墓じまいしたのに再びお墓を買って「樹木葬」に移す方が多いのか?これは「アリ」なのか「ナシ」なのか?を問いてみたいと思います。
結論:墓じまいからの樹木葬は「条件や要望が合えばアリ」

結論から申し上げますと、利用者の条件や要望が合致すれば「アリ」なのだと思います。その条件や要望とは以下のようなものです。
1.潤沢な予算がある
樹木葬と言っても決して安いわけではありません。永代供養料を含めた墓地使用料が何十万と必要になります。気づいた方も多いかもしれませんが、イメージとしては再び小さなお墓を買うようなものです。すなわち、お墓を購入できるだけの予算がある方だけに許される選択肢でもあります。
2.墓じまい後も時々お参りに行きたい
「墓じまい」と聞くと永代供養を済ませた後は二度と墓参りに行かないというイメージがありますが、「時々お参りに行く」という方が多いのも事実です。かつてはそれが合祀墓や納骨堂の前に設置された献花台などでしたが、新しく樹木葬墓を購入した方はその墓前にお参りすることができるようになります。
3.お花や虫など、自然が大好き
生前の趣味が園芸やお花鑑賞、虫好きだった方々にとって「樹木葬」はこの上ない弔い方法かと思われます。大好きだった草花や昆虫達に囲まれて眠りたい。そんな理想を叶えるのも1つの役割となっています。

樹木葬の種類と費用相場:合祀型と個別型の違い
本来の樹木葬とは樹木の周りに散骨し、自然に還す葬送スタイルを指しますが、日本では墓石の代わりに樹木を植えて飾るスタイルで定着しました。紛らわしいので本来は「樹木葬型墳墓」と呼んだ方が良いのかもしれません。この樹木葬型墳墓には主に2つの種類があり、それぞれ埋蔵スタイルが異なりますのでそれぞれの特徴や相場を確認しておきましょう。
合祀型樹木葬(5万円~30万円)
他の方の遺骨と一緒に混ざる、いわゆる合葬墓タイプです。大量の遺骨が収納できるスペースが設けてあり、骨壺から取り出した遺骨をガラガラと投函してゆきます。大きな樹木などをそれらのスペースに植樹し、シンボルツリーとして弔います。多くは原型を留めた遺骨をそのまま投函しますが、より多くの遺骨が収納できるよう、粉骨してから入れるところもあります。

自治体などではこれを「樹林墓地」と呼んでいます。これは「樹木葬」というのはスタイルであり、墓地区画の名称としては法律上問題があるからです。
個別型樹木葬(20万円~80万円)
個人または家族単位で入るお墓です。墓地区画には識別ができるよう石板などが設けられ、他の遺骨は入れられないようになっています。収納スペースの大きさや、区画全体の大きさ、場所などによって価格差があり、個別に植樹できる物は高価で、合祀墓のようなシンボルツリータイプは比較的安価な傾向があります。

自治体などではこれを「樹木墓地」と呼んでいます。これは「樹木葬」というのはスタイルであり、墓地区画の名称としては法律上問題があるからです。
墓じまい後に「樹木葬」を選ぶ人が急増している理由
ブームとまで言われている樹木葬ですが、なぜこれまでに成長したのか考察してみました。
墓守としての役目が続いているから
墓じまいをする大きな理由の1つとして「継承者が途絶えてしまうから」というものがあります。かつては自動的に引き継がれてきたお墓も、継承者がいなくなる事が判っている場合、このままにしておくことはできません。とはいえども、ご自身はまだ存命で、墓守としての役目は続いていることから「完全になくす」ことには躊躇してしまいます。
大きな墓石を使ったお墓の解体などには莫大な資金が必要ですし、自身が老齢などで動けなくなる前に、せめて小さくしておいて片づけやすくしておこうという思惑もあります。完全な墓じまいというよりは、お墓の整理的な意味合いでの墓じまいをしている方が多いため、その需要に現代の樹木葬型墳墓は合致しているものと思われます。
石材店とお寺が一所懸命販売しているから
バブル時代はロールスロイスが買えるほど儲かっていた石材店ですが、今では何百万もするお墓を購入してくれる方は少なく、手ごろな価格で販売できるお墓を販売してなんとか成り立っている現状があります。
墓じまい後の遺骨は「散骨」もできるはずなのですが、散骨されてしまうと自社で販売している樹木葬墳墓や墓地区画が売れないので、樹木葬の方を一所懸命お勧めしてしまう傾向があります。お寺としても遺骨がある限り法要の期待もできることから、なんとかして敷地内に留めようと、石材店と組んで樹木葬の販売に注力しているという背景があります。墓じまいは石材店が窓口となることが多く、初心者のお客様に提案しやすい状況が整っています。こうした理由から現在は「樹木葬がブーム」のようになったと言われています。
墓じまい後に樹木葬を選ばない人は「自治体」か「海洋散骨」
では、墓じまい後に樹木葬を選ばなかった人達はどのような選択をしているかと言うと、多くは自治体の合祀墓か海洋散骨を選択しています。
最近では多くの自治体が高齢化を見据えて大規模な合祀墓を準備しており、市民であればとても安価で利用することができます。墓じまいだけでなく、生前予約などもできるため人気です。そのため、これらの合祀墓には募集数に上限があり、抽選制のことが多く、なかなか当選しない事も多いのが現状です。
そこで最近、人気なのは「海洋散骨」です。かつて違法なのか合法なのか不明でグレーゾーンだった散骨も、2021年3月に厚生労働省が散骨事業者向けにガイドラインを示したことで公然とできるようになりました。
つい最近の事なので、まだ知らない方も多くさほど広まってはいませんが、散骨は合祀墓よりも安価で抽選もないことから人気の選択肢となっており、現在の樹木葬と並ぶ人気の選択肢になるのではないか?と言われています。

散骨はお墓の引っ越しではないため、「改葬許可申請書」も不要で、身分証明書だけがあれば誰でもできます。

墓じまいから樹木葬へ移行する具体的な手順と手続き
まずは現在の墓地管理者に墓じまいの意思を伝え、新しい樹木葬の契約を進めて「受入許可書」を取得します。
次に、既存のお墓がある自治体へ「改葬許可申請書」を提出し、現在の墓地管理者から「埋葬証明書」をもらって提出することで「改葬許可証」が発行されます。
その後、既存のお墓で閉眼供養(魂抜き)を行い、遺骨を取り出して墓石を撤去・更地にして返還します。最後に、取り出した遺骨を新しい樹木葬地へ納骨すれば完了です。

親族の反対やトラブルを防ぐ!円滑に進めるためのポイント
墓じまいと樹木葬への移行で起きるトラブルの多くは、事前の相談不足が原因です。事後報告になると「ご先祖様に失礼だ」「お参りしにくい」と親族から激しい反対を受けることがあります。検討を始めた段階で、なぜ墓じまいをするのか、管理上の苦労や将来の負担について丁寧に説明しましょう。
また、費用負担の割合や、合祀後に遺骨が取り出せなくなるリスクについても事前に共有し、全員が納得した上で手続きを進めることが円滑な移行のカギとなります。
樹木葬型墳墓はなぜこんなに高いのか?
石材店が販売している樹木葬は高い
素人目には「樹木葬なんて石のプレートだけなのになんであんなに高いの?」と思うかもしれません。どうしても高額になってしまう理由は本質が「区画売りだから」です。正直、石のプレートはそれほど値段はしません。文字を刻む程度ですし、クレーンを使った大掛かりな設置もありませんから。
多くの霊園は石材店が運営している事が多く、販売のメインは「土地」なのです。霊園の開発には土地の取得から造成・区画割、水道の敷設やトイレの設置など様々な費用がかかります。そして自治体から墓地として認可を受け、それらを区画割して販売しています。そのコスト+利益が販売価格となっていますので高価なのです。
お寺が直販している樹木葬は安い
その一方で、お寺が直営で販売している樹木葬は比較的「安価」であることが多いです。これは元々あった墓地が墓じまいなどで更地になり、小さな区画になって再販されていることが多く、開発コストが半分程度で済んでいるからです。また、お寺の目的は墓地の販売よりも「供養」であり、購入後の法要で利益が取れるので安価で販売されている事が多いのです。
ただし、墓地開発に第三者が加わっている場合はこの限りではありません。開発コストを回収する必要があるため、お寺内にあっても高価な事があります。
まとめ:墓じまいで樹木葬を選ぶか迷ったら?
墓じまいした後の遺骨をどうするかは各自の自由ですから「アリ」か「ナシ」かと問われたら「アリ」だと思います。ただ「墓じまい」の本質は「お墓をやめる事」だと思うので、樹木葬型墳墓に移すというのは墓じまいではなくそれって正しくは「改葬」だと思います。
そう考えると、本気で墓じまいをしようと思ったら合祀墓へ送るか海洋散骨しかありません。さらにどちらにするか?と聞かれたら私なら迷わず海洋散骨にします。なぜなら数々の合祀墓を拝見してきましたが、たくさんの遺骨がガラガラと投げ込まれている様子は見るに堪えられない様子でしたから。折り重なるように積み上げられた遺骨はさながら・・・とても書けません。
それであれば、青い海に散骨してあげたほうがご先祖さまもきっと喜ぶと思いました。長い年月、真っ暗でジメジメしたカロートに閉じ込められていた遺骨を、まっ白なパウダーにしてたくさんのお花と共に青い海に撒く・・・素敵ですよね。それを最期の弔いとさせていただければ墓守としても納得できると思ったんです。

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